フラワーロードフィールドワーク

【入善フラワーロード】

 入善フラワーロードには、入善町の特産品であり、町の花でもあるチューリップが、色とりどりに咲いています。入善は天候が良く環境も良いため、チューリップを育てるのに適しています。そして、面積は9.3ヘクタール、本数は300万本と、面積・本数が日本最大級となっています。また、入善フラワーロードでは、フォトコンテストも行っており、町の活性化につながっています。

【チューリップを育てる上での工夫】

 入善フラワーロードでは、雪国である富山県に合わせて、チューリップの上に13センチメートル土をかけ、埋め込むと言う作業をしています。そうすることにより、雪が積もっても、チューリップが冷たくなるのを防ぐことができます。土は、稲作の後に作るという裏作がされているため、稲の藁が残っていて栄養があるのが特徴です。また、日光の当たり具合が異なるため、開花時期にはばらつきが出てきます。入善フラワーロードでは、この早咲きと遅咲きを区別して植えています。そして、連作をするとチューリップが栄養を取れなくなるため、毎年植える場所を変え、同じ場所には4年に1回の間隔で植えるようにしています。

【春の四重奏】

 春の四重奏とは、北アルプス、桜並木、チューリップ、菜の花の、四つの自然からなる朝日町を代表する観光名所です。チューリップと菜の花は、植えられる場所が毎年変わるため、見られる景色も毎年変わります。そのため春の四重奏は、「一期一会」だと言われています。そして2009年、2016年、2019年、2020年に、綺麗な四重奏を見ることができました。上澤さんによれば来年、再来年はもっと綺麗に見られるかもとのことです。また、四つの自然が綺麗にまとまり、1つの「四重奏」という景色として見られるところは他には無いため、春の四重奏は世界に誇ることができます。年々、海外からの観光客も増えていて、バスツアーなども行っています。2021年には約5万人もの観光客が訪れ、今年はそれを更に上回り約7万人もの観光客が訪れる予定だそうです。

【舟川新地区の土地ができた背景】

 今から約110年前、舟川の藤井十三郎氏と山崎市次郎氏の2人の指揮によって耕地が整理されました。その後、明治35年から10年かけて73ヘクタールの耕地整理と、散財していた住宅・納屋約70件を宅地整理しました。その若き素晴らしい先覚者の志を受け継ぎ、平成24年から30年かけて農場整備が行われ、30アール区画から1ヘクタール規模の大きな田んぼへと整備されていきました。

【毎年変わるチューリップ】

 今年は19品種、約60万本を栽培しました。品種の数は増えたり減ったりと、毎年異なります。連作を避けるため、チューリップと菜の花を植える場所も、毎年変えています。また、球根栽培だとすごく手間がかかったり、市場で人気の品種が移り変わったりすることにより、現在はチューリップと桜が同時に開花することは、あまり無くなってしまいました。チュリスト山崎さんは、四重奏を少しでも多くの方々に楽しんでもらえるよう、毎年試行錯誤を重ねておられます。そして、楽しみの一環として、チューリップを栽培しておられます。

【想い伝わる田んぼアート】

 田んぼアートは、チュリスト山崎さんが描いた設計図を基に、田んぼアート米(数種類の古代米)を一つ一つ手植えして作っています。熊本地震があった年はくまモンを描くなど、山崎さんは田んぼアートを通して、色々な想いを伝えるようにしています。また、毎年5月下旬には、「田んぼアート田植え」というイベントが行われています。毎年150名程の親子連れが参加しており、一緒に手植えを体験することができます。デザインは、毎年色々な方の案を採用しています。昨年は、泊高校が閉校となるということで、泊高校にデザインを依頼し、それを基に、田んぼアートが作られました。田んぼアートで作られたお米は、田んぼアート米として、販売されています。今では、とても人気の商品となっています。山崎さん達は、自分たちの力で商品化をし、儲けたいという思いがあります。

【1年中舟川べりを楽しむための工夫】

 4月には春の四重奏を見ることができ、5月下旬には田んぼアートを見ることができ、秋には真っ赤な絨毯のような彼岸花を見ることができます。彼岸花は、地元の方々の手で3年かけて3万本植えられました。冬には桜並木に雪の花が咲き、綺麗な雪景色を見ることができます。このように舟川べりは、いつ訪れても四季折々の景色を楽しむことができるよう工夫されています。山崎さん達は、お客さんに楽しんでもらうことをモットーに、農業を頑張っておられました。

【今後の課題】

 年々、農家が減ってきていて、40代から50代の方々が1番若くなってきています。そのため人手が足りなく、舟川新以外の方々の協力も必要となってきました。これが今、上澤さんや農家の方々にとって、大きな課題となっているのです。

【まとめ】

 今回は、入善フラワーロードと春の四重奏のフィールドワークに行きました。入善フラワーロードのフィールドワークへ行った日は雨が降っていて、チューリップが綺麗に見られないのでは無いかと不安でした。ですが、雨の雫がかかっているチューリップもとても綺麗で、幻想的でした。春の四重奏のフィールドワークへ行った日は桜が散っていて、「四重奏」とまでは行きませんでしたが、チューリップと菜の花が色鮮やかで、見ていて楽しかったです。入善フラワーロードも、春の四重奏も、互いに地域の方々に大切にされているということが、見ていて伝わってきました。そして、地域の方々が大切に育てられた花が、もっとたくさんの方々に見て頂けたら良いなと思いました。私も来年は、入善フラワーロードの晴れの日の景色と、春の四重奏の「四重奏」を見に行けたら良いなと思います。