獅子舞フィールドワーク

【意外と知らない獅子舞の歴史】

 獅子舞はインドから始まり、その後中国、朝鮮半島、日本へと伝わりました。日本には、飛鳥時代に朝鮮半島の百済から、仏教の伝来とともに伝わりました。そして、その後日本各地へと広まったのは、室町時代から江戸時代初期にかけて、「伊勢大神楽師」と呼ばれる芸能集団が獅子舞を踊りながら全国を周り悪魔祓いをした事がきっかけとされています。現在は、日本で最も数の多い伝統芸能として広く知られており、日本を代表する民俗芸能のひとつとなっています。そして、獅子舞のモチーフとなっているのはライオンと言われており、インドの遊牧民は昔から、ライオンを神秘的な力を持った霊獣として崇めています。

【バラエティ豊かな獅子舞文化】

 私たちが住む富山県は獅子舞の数も種類もとても多く、地域によって舞い方も演目も違います。富山県の獅子舞は、「百足獅子」と「二人立ち獅子」に分類されます。百足獅子は県西部地方で多く見られ、「カヤ」と呼ばれる胴幕の中に人が何人も入って行われる全国的にも珍しい獅子舞の形態です。一方、二人立ち獅子は県東部地方で多く見られ、二人で行われる日本の伝統的な獅子舞の形態です。この他にも、中世からの流れを汲む「行道獅子」という古い形態の獅子舞も見られ、バラエティに富んだ獅子舞文化が継承されています。

【椚山地区で愛されている獅子舞】

 入善町には獅子舞を踊る団体が20団体あり、その中でも椚山地区では、約400年前から獅子舞が踊られています。この椚山地区と新屋地区の獅子舞は、町の無形民俗文化財に指定されています。そして、今では祭りなどでも踊られるようになりました。以前は平日、休日関係なく、9月14日、15日に開催されていましたが、現在は10月の第2週の3連休に開催されています。椚山地区は4年ごとや2年ごとではなく、毎年、獅子舞を開催しています。そして、椚山の獅子舞には椚山地区の方々や、地域の小学四年生の子供たちが参加しています。中には、高校生なども参加していたりします。練習期間は約1ヶ月くらいだそうです。その1ヶ月で、「天狗と獅子の起こし舞」「天狗の四、六、八人舞」「子天狗の四人の竹舞・傘舞」「子天狗・大天狗の三人舞、十二人舞」「惺々」の踊りを練習し、披露します。この沢山の踊りがある中で、金の玉を使った踊りがあり、他の祭りにはないとても珍しいものです。

【まとめ】

 私は、今回初めて獅子舞を直接目の前で見ました。獅子舞を見てまず最初に気が付いたことは、踊っている方々がみんな楽しそうだということです。踊っている方々が全力で楽しんでいる姿は、とても素敵だなと感じました。獅子舞は見ている方はもちろんのこと、踊っている方も楽しくなれるのだと初めて知りました。また、話を聞いていると、獅子舞を踊っている方々は、獅子舞に誇りを持って踊っているということが伝わってきました。それぞれの地域に受け継がれる伝統の獅子舞を大切にし、地域の宝として良き伝統が途絶えないように守り続けているということもわかりました。獅子舞は、地域の方々に長く愛されている、とても素敵な伝統芸能でした。